精神疾患について

摂食障害とは

摂食障害は食べることの偏りを中心とした心の病気、心と体の両方が病むという心身症で精神科と内科が協力して治療にあたる病気です。食べないあるいは食べられなくなってやせていく神経性食欲不振症(俗に拒食症と呼びます)と、大量に食べてしまう神経性過食症(俗に過食症と呼びます)があり、過食してその後に自己誘発の嘔吐をするタイプもあり、それらをまとめて摂食障害と呼びます。食行動の異常に伴い、心が幼稚化したり、パニックやうつ状態や情緒不安定などの精神症状も出てきます。


過食と嘔吐が慢性化するとそれが自己目的化して、アディクション(嗜癖)行動になっていき、アルコールや薬物依存などとも合併することがあります。摂食障害は治療困難な病気の一つで、原因がさまざまなこと、効果がある薬がないこと、やせすぎて死に至ることもあること、専門医が少ないこと、回復に時間がかかること、などのためです。このため、本人も家族も粘り強く病気と闘う必要があります。回復は食行動が正常化して普通に戻ることと、心が健康をとりもどして心理的に成長することが必要です。 



境界性パーソナリティ障害とは

毎日生きているのが虚しい、自分の体を傷つけずにはいられない、まわりの人が自分のことを理解してくれない、自分は生きている価値がない、こんな思いを抱えながら、自分もそして家族など周りの人も深く傷つけ、振り回してしまうのが境界性人格障害(ボーダーライン、BPDなどとも呼ばれます)の人の特徴です。感情も安定せず、突然激しい怒りに駆られたかと思うと、その後落ち込んで引きこもってしまうようなこともあります。飲酒や異性関係のコントロールがきかなくなったり、摂食障害の症状がみられたりする人もいます。


こういった症状は、周りの人も巻き込みながら深刻化していき、刑事事件や自殺の問題に至ることもまれではありません。しかし、専門家や仲間の援助をもらいながら回復していく人もいます。自信がなくても、自ら回復したいと願い、専門家とともにできることから始めていくことが回復へのスタートになります。